神戸大学発達科学部研究紀要Vol. 5(2):pp  -  , 1998.

酵母菌ロイシン遺伝子座位の復帰変異に関する遺伝解析
1. 異なる培養条件下での復帰変異率

Genetic analysis of reverse mutation at leucine locus in Saccharomyces cerevisiae.
1 Reverse mutation rates under different cultural conditions.

宮本 留美1) ・ 内田 昭2)

1)神戸大学大学院教育学研究科理科教育専攻

2)神戸大学発達科学部 自然環境論講座


要 約

 ウラシル、リジンおよびロイシン要求性二倍体酵母菌S.cerevisiae のロイシン座位における復帰変異率に関して研究した。この実験では復帰変異率をsmall-scale cultureおよびlarge-scale cultureの2通りの方法で計算した。small-scale cultureでは同条件下におけるいくつかの培養中、復帰変異が全く起きなかった培養頻度より変異率が求められ、large-scale cultureでは培養全体の平均変異菌数より変異率が求められる。
 small-scale cultureでは、どの培養条件下でも、ロイシン座位での復帰変異率は 1〜2×10-7を示したがlarge-scale cultureでは、条件特異的に大幅な違いが観察された。つまりlarge-scale cultureでは、最少培地やロイシンおよびリジン飢餓培地による培養によって5〜10×10-2 と高頻度な変異率を促すが、完全培地ではこのような現象は観察されなかった。異なる条件下におけるsmall-scale cultureとlarge-scale cultureの間で、変異率に著しい違いが観察される事から、 ロイシン遺伝子座位における復帰変異は少なくとも2段階以上のステップを経て生じるのではないかと推測された。

 

キーワード: 条件復帰変異、ロイシン遺伝子座位、出芽酵母


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