宮本 留美1) ・ 内田 昭2)
1)神戸大学大学院教育学研究科理科教育専攻
2)神戸大学発達科学部 自然環境論講座
要 約
ウラシル、リジンおよびロイシン要求性二倍体酵母菌S.cerevisiae のロイシン座位における復帰変異率に関して研究した。この実験では復帰変異率をsmall-scale cultureおよびlarge-scale cultureの2通りの方法で計算した。small-scale cultureでは同条件下におけるいくつかの培養中、復帰変異が全く起きなかった培養頻度より変異率が求められ、large-scale cultureでは培養全体の平均変異菌数より変異率が求められる。
small-scale cultureでは、どの培養条件下でも、ロイシン座位での復帰変異率は 1〜2×10-7を示したがlarge-scale cultureでは、条件特異的に大幅な違いが観察された。つまりlarge-scale cultureでは、最少培地やロイシンおよびリジン飢餓培地による培養によって5〜10×10-2 と高頻度な変異率を促すが、完全培地ではこのような現象は観察されなかった。異なる条件下におけるsmall-scale cultureとlarge-scale cultureの間で、変異率に著しい違いが観察される事から、 ロイシン遺伝子座位における復帰変異は少なくとも2段階以上のステップを経て生じるのではないかと推測された。
キーワード: 条件復帰変異、ロイシン遺伝子座位、出芽酵母