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学術実践交流セミナー「共に生きる実践の足下を固める ~東アジア的風土を視野に~」

セミナーについて


PDFファイルチラシ
(143KB)
日時と場所
2009年12月23日 (水・祝) 9:30~17:00 神戸大学 百年記念館 六甲ホールにて
2009年12月24日 (木) 9:30~12:00 神戸大学発達科学部 大会議室 (A棟2階) にて
対象
学生・教職員、その他関心のある方
参加費
無料 (ただし、交流会費は別途必要です)
参加方法
  • 交流会ご出席の方は必ずお申し込みください。
  • 要約筆記等の支援が必要な場合は、事前にお申し出ください。
お申し込み先・連絡先
神戸大学大学院人間発達環境学研究科 ヒューマン・コミュニティ創成研究センター (HCセンター) (担当: 津田)
電話: 078-803-7970 (内線: 7970)、FAX: 078-803-7971 (内線: 7971)、メール: zda@【続けて「kobe-u.ac.jp」を入力してください】
主催
神戸大学大学院人間発達環境学研究科 ヒューマン・コミュニティ創成研究センター (HCセンター)
後援
日本福祉教育・ボランティア学習学会

プログラム

2009年12月23日 (水・祝)

場所: 神戸大学 百年記念館 六甲ホール

時間内容
9:30~11:30 セッション1『重度重複障害のある人たちの「本人中心」の学習』
  • 報告1: 박 은주 パク ウンジュ (ソウル市立知的障害人福祉館)
  • 報告2: 高橋 真琴 (神戸大学大学院/養護学校教員)
  • コメント: 植戸 貴子 (神戸女子大学)
  • 司会: 高橋 爾 (日本福祉教育・ボランティア学習学会会員)
13:00~17:00 セッション2『東アジアのformal careとinformal care』
  • 報告: 岩橋 誠治 (たこの木クラブ)
  • 指定討論: 新崎 国広 (大阪教育大学)
  • 指定討論: 우 주형 ウ ジュヒョン (韓国ナザレ大学)
  • 司会: 津田 英二 (神戸大学)
17:00~ 交流会

2009年12月24日 (木)

場所: 神戸大学発達科学部 大会議室 (A棟2階)

時間内容
9:30~12:00 セッション3『大学への障害者受け入れと学生の反応』
  • 報告1: 유 애란 ユ エラン (韓国ナザレ大学)
  • 報告2: 津田 英二・泊 由布紀 (神戸大学)
  • 指定討論: 藤井 克美 (日本福祉大学)
  • 司会: 朴木 佳緒留 (神戸大学)

セミナー開催の背景と趣旨

神戸大学大学院人間発達環境学研究科ヒューマン・コミュニティ創成研究センター障害共生支援部門では、2005年度以降実践的研究に取り組んできました。子育て支援をきっかけにした共生のまちづくりをめざすサテライト施設「のびやかスペースあーち」での事業、知的障害のある人たちと学生が相互に関わりながらキャリア開発を行う「みのり」と呼ばれる学内での事業、学童保育事業を中心にインクルーシヴな地域をめざす拠点として設置された「つむぎ」の3カ所を足場に、地域で生きる人たちの息づかいに根ざして、インクルーシヴな社会を構想しようとしてきました。

その中で、2006年頃から、障害のある学生をたくさん受け入れている韓国ナザレ大学、及び韓国の知的障害者福祉のリーダー的立場にあるソウル市立知的障害人福祉館と、相互の実践的研究に関心をもち、恒常的な関わりをもつようになりました。

実践的研究の中心テーマは、インクルーシヴな社会に向けた実践を支える理論の構築です。実践に即して考える研究者や実践家が集まり、相互に学びあい高めあうことを通して、少しずつ理論が積み上げられていくことをねらっています。今回は特に「東アジアの風土」をキーワードのひとつとして、人と人との関わりに焦点を合わせます。

インクルージョンという語も含め、多くの専門用語や概念が欧米から各地へ流れていくという傾向は、根強く残っています。インクルージョン概念は世界的に重要な提起を含んでいることは間違いありませんが、現実の社会との整合を考えたとき、外来の概念を輸入するだけではすみません。

東アジア文化圏においては、伝統的に濃密な人間関係に支えられた地域社会を度外視してインクルーシヴな社会を構想するのは困難です。日本の場合は、この地域社会の崩壊してきている中で、インクルージョン概念と向き合っています。また、障害のある人たちの地域生活という文脈で考えたとき、家族のもつ意味合いが、欧米社会とは大きく異なるということが言われてきています。家族の持つ機能への社会的な期待とその期待に応える家族とが、障害のある人たちの地域生活の根幹を支え続けているように見えます。formal careでさえ、家族によるinformal careを前提にしていたり、あるいは家族によるinformal careの延長にformal careが成り立っていたりします。

他方、地域社会での濃密な関係の中で人々が豊かな生活をめざし享受してきたという側面もあります。障害のある人たちを地域の輪の中で見守ろうとする動きは、数少ないとしても東アジア的な特徴をもつ実践として理解することができるでしょう。そうした実践は、formal careのシステム化が急がれる中で看過されてきたように思われます。formal careをシステム化していくことも重要ですが、それをささえる人々の関わりの次元について、より深く考察していく必要があるのではないでしょうか。

今回のセミナーでは、(1) 重度重複障害のある人たちとの関わりを捉えることを通して、相互主体性を原理とする共生の像を批判的に考察し、(2) 共に生きることを実践してきた人の生き様から学ぶことを通して、私たちの日々の生活を振り返り、(3) 共に生きる関わりをつくる実践の場として大学の可能性と役割を探ります。

Updated: 2009/11/06 (Fri) 15:41