神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教育・学習専攻 【博士課程前期課程】 教育科学論コース/【博士課程後期課程】 教育科学論分野
教育現象を解読し問題を摘出できる高度な専門能力育成
私たち教育科学論コースでは,今日の社会が直面するさまざまな教育課題への対応を念頭に置き,高度な専門的知識と技能・技法をあわせ持って教育現場のリーダーとして貢献できる人材(教員・研究職・教育行政職など)を養成しています。すでに初等・中等教員免許を取得している学生諸君に対しては,学校教育という社会制度をあらためて「教育科学」という視座から考察していく中で,高度な知識と研究スキルを習得させることにより,批判的洞察力・自己内省力・自己開発力を兼ね備え,学校現場において指導的役割を担っていくことのできる教員を養成しています。また同時に,これらの専門能力育成の過程を通じて,理論と実践の両方で教育界に貢献できる研究者や教育関係専門職業者の養成をめざしています。コースにおける学習・研究では,教育科学研究各領域のアプローチの特性を活かし融合して,高度な専門的知識の深い理解を図るだけでなく,特定の教育問題や教育事象の生起する「場」に具体的に介入しつつ,それらを解読する技能・技法を,演習などを通じて習得していきます。現代教育をめぐる具体的現象と同時に,その根源的原理や理論的基盤,または歴史的位相や人類史的意味についても理解と考察を深めることによって,より高い水準での現状分析能力および問題解決能力を身につけていきます。
大学院生の声
アットホームな雰囲気と互いに学び合える環境が魅力
榎景子 さん(前期課程2 年生 )
教育科学論コースは,今日の教育が抱える問題や具体的な現象を,歴史的,制度的,方法論的な視点で読み解き,理解を深めることができるコースです。その中で私自身は教育制度論を専攻し,学校と地域が協働しながら子どもを育てていくしくみについて研究しています。研究は地道な作業ではありますが,一つの事をとことん追究する過程には大きな楽しさがあります。 また,コースには,他大学,他学部出身の学生や,留学生,社会人経験者も数多く在籍しており,バックグラウンドと専攻する研究領域が異なるメンバーが,ひとつの部屋を共有して研究生活を送っていることも大きな魅力のひとつです。そのため「教育」という共通関心に対し,研究領域や国境を越えた議論や学び合いを日常的に行うことができ,思考の幅を広げたり深めたりすることに恵まれた研究環境にあります。さらに,大学院生同士の仲の良さは抜群で,このアットホームな雰囲気は日々の研究の励みとなっています。
スタッフとカリキュラム
スタッフと研究分野・研究テーマ
氏名 | 職名 | 担当 | 研究分野・研究テーマ |
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稲垣 成哲 (いながき しげのり) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【科学教育】 科学教育におけるテクノロジを利用した学習支援のための理論,方法,評価及び実践デザインについて研究しています。 |
白水 浩信 (しろうず ひろのぶ) | 准教授 | 前期課程 後期課程 | 【西洋教育史】 西洋を中心とした教育の特異性,その統治性に関する教育思想研究。教育を規定し,構成してきた身体と精神の関係の歴史人類学的研究を行っています。 |
勅使河原 君江 (てしがわら きみえ) | 講師 | 前期課程 - | 【美術教育】 美術を通した子どもの発達支援研究をしています。研究テーマは,前衛美術作家集団,具体美術協会が行った子どもの美術教育と対話を基本とした美術鑑賞と制作活動です。 |
船寄 俊雄 (ふなき としお) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【日本教育史,教育学】 明治時代以降現在に至る教員の養成史を研究しています。その中でも最も関心をもっているのは,戦前にあった中等教員の国家検定試験 (文検) の研究です。 |
山口 悦司 (やまぐち えつじ) | 准教授 | 前期課程 後期課程 | 【科学教育】 科学教育研究 (ScienceEducation Research) という専門分野です。人々の科学の学習をより有効に支援するための学習環境デザインについて理論的・実践的に研究しています。 |
山下 晃一 (やました こういち) | 准教授 | 前期課程 後期課程 | 【教育制度論】 学校の存立に関する組織・制度論的探究 (地域と学校の批判的創造的関係の再構築,校内運営組織の刷新,学校と福祉・司法等機関との連携等) について研究しています。 |
吉永 潤 (よしなが じゅん) | 准教授 | 前期課程 後期課程 | 【社会認識教育論】 社会認識とは何か。それは,つきつめれば,人間がどうすれば共存しうるかという問いへの各自の答えの構築だと考えています。あなたならどう答えますか? |
渡部 昭男 (わたなべ あきお) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【教育行政学(地域教育学,特別ニーズ教育)】 特別ニーズ児を含む人間発達と地域創造を保障できるような教育行政の在り方,特に住民と身近な基礎自治体 (市町村) の可能性を探っています。 |
主な授業科目と概要
【博士課程前期課程】 教育科学論コース
科目名 | 科目概要 |
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教育人間学特論I | 教育の根底にある人間観について理解を深め,教育に携わる者に求められる人間理解の幅を広げるべく,教育思想について歴史的知見を得る。 |
教育行政特論I | 現代教育の複合的な機能を担う多様な教育行政活動の仕組みと役割について考察し,自治体の活動や非営利団体の活動の複合的特性に関する研究を蓄積する。 |
教育制度特論I | 現代社会における教育の行為・集団・計画を規定する制度のあり方について,近年の理論的動向と具体的諸事例を取り上げて検討を試みる。 |
日本教育史特論I | 日本教育史に関連する特定のテーマの追究を通して,「調べること」「記述すること」「発表すること」「討議すること」という研究の基本を体験してもらうことが目標である。 |
高等教育特論I | 高等教育研究の基礎的理解を目指して,主に歴史的・制度的アプローチを採用し,比較の視座を加味しながら,中世から現代までの大学の変容の過程を概説する。 |
高等教育計画特論I | 高等教育の発展過程を「教育計画」「学生」というキーワードのもとに振り返り,「学制」発布以後の近代大学の発展過程と学生の変化を,学生の視点から捉えることに重点を置く。 |
社会認識教育内容特論I | 社会認識とは何か。現代が要請するそのあり方とは。このような問いを掘り下げて考察するため,やや高度な文献を輪読し参加者の対話を組織する。 |
科学教育カリキュラム特論I | 科学教育カリキュラム論に関する内外の重要文献を講読し,当該分野における基礎的・基本的な理論と方法論を体系的に習得する。 |
科学教育原理特論I | 科学教育における目的・内容・方法・評価の原理について学習する。 |
ヒューマンコミュニティ創成研究 | ヒューマンな環境形成の条件や前提,問題群等への理解を深め,博士課程前期課程での個別の専門領域での学習・研究のための基本的な視点を養う。 |
【博士課程後期課程】 教育科学論分野
科目名 | 科目概要 |
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*教育人間学特論II | 教育の基底にある人間観,身体観,社会観に対する幅広くかつ深い理解を得るべく,歴史的内実を備えた具体的な教育人間学の一つのあり方を模索していく。 |
*教育行政特論II | 発達のための教育について,国や自治体の果たす役割を研究するとともに,国際関係や経済と関連する中長期的な教育政策の選択について考究する。 |
*教育制度特論II | 現代教育制度改革の特質と課題の解明を目指し,国内外の最新研究成果に基づきながら理論的・実証的分析を深め,新たな学術的成果の産出を目指す。 |
*日本教育史特論II | 受講生各自の博士論文中の序章にあたる部分,すなわち先行研究の検討および課題設定の独創性について検討する。 |
*高等教育特論II | 我が国の大学が直面する諸課題を論じ,21 世紀の高等教育の在り方を議論するとともに,大学運営や学務マネジメントに関するより具体的な課題の理解を目指す。 |
*高等教育計画特論II | 高等教育の発展過程と学生の変容過程を,ヨーロッパと日本との比較によって学生の視点から検討する。とくに1990 年代以降の高等教育の大きな構造変動を中心に扱う。 |
*社会認識教育内容特論II | 論文指導の色合いが濃い授業です。授業で考察するテーマは私が指示するよりむしろ受講生が持ち込み,それについて受講者の対話を組織する。 |
*科学教育カリキュラム特論II | 科学教育カリキュラム論に関する内外の重要文献を講読し,当該分野における最先端の成果と課題を整理するとともに,新規で独創性のある研究課題を考究する。 |
*科学教育原理特論II | 科学教育の理論と実践について,最新の研究文献群を素材にして論究する。最新の研究論文,著作,国際会議のプロシーディングス等を素材として利用する。 |
*教育能力養成演習 | 大学教員としての教育能力・教育資質の開発を目指し,指導教員の指導監督のもとで,専門領域の基礎的内容を取り扱う学部の講義科目の「模擬授業」を実施する。 |
修了と進路
修士論文テーマ
教育科学論コースの修士論文テーマをご覧ください。
主な進路
教育科学論コース 修了生の進路 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程前期課程教育・学習専攻)をご覧ください。
専修免許の取得状況
教育科学論コース 資格免許の取得状況をご覧ください。
Updated: 2012/01/10 (Tue) 10:57