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フォーラム「理系AO入試が開く科学者へのトビラ」の開催趣旨

これからの21世紀に、社会にとって必要とされる科学者には、専門的な知識や技術の体系的な習得とともに、自ら何かを企画し実行する力、自発的な探求・研究活動、コミュニケーション能力などを自らが培ってゆくことが必要になります。このような科学者に育つ潜在的な資質をもった人材を見極めるには、一般の学力試験だけでは必ずしも十分とはいえません。高校時代に探究活動の「機会」に恵まれても、一般の入試制度に照準をあわせると、「継続」は困難な場合があります。神戸大学発達科学部人間環境学科では、2006年度よりポスターセッションによる研究発表を取り入れた理系AO入試を開始し、従来型の学力試験とは違う扉から、21世紀の科学者に育つ人材を受け入れる試みを行ってまいりました。このフォーラムを通じて、高校教員・高校との強い連携を目指し、研究発表型AO入試を考慮した高校教育、さらに大学教育について考えたいと存じます。

大学教育におきましても、神戸大学発達科学部人間環境学科では、自然環境論コースの「総合理学」型の教育プログラムを展開し、広い分野の基礎を持つことで全体を俯瞰する視野、課題探究型のプログラムにより問題解決力やコミュニケーション能力の育成を目指しています。本コースで自然科学の基礎を身につけ、課題研究の経験を積んだ学生たちが、大学院ではより専門的な研究へと進んでいきます。ただ、残念なことに、本コースの教育理念は、広く世の中に知られるに至っておらず、また理解されるにはまだまだ多く努力が必要です。このフォーラムを通じて、本コースの教育プログラムと、さらに、現在社会に出て活躍している卒業生からみたコースの特徴をお伝えしたいと思います。

今回のフォーラムでも、一昨年昨年に引き続き、科学賞受賞経験者や理系AO入試で大学に入学した方々からのメッセージ、さらに高大連携を組織的に進めている大学や高校で研究活動を指導しておられる方からのメッセージをお伝えし、高校での課題研究の取り組み方や、高大連携のあり方、未来の人材育成について共に考える場にしたいと存じます。


靑木 務 (神戸大学発達科学部長)

Updated: 2010/02/03 (Wed) 14:49