神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教育・学習専攻 【博士課程前期課程】 子ども発達論コース/【博士課程後期課程】 子ども発達論分野
子ども 発達 教育 表現 生活 運動
子ども発達論コースは,乳幼児期から青年期の子どもを対象に,心や身体の発達,言語・音楽・造形表現の発達と教育,数理認識の発達と教育に関する研究を総合的に進めています。子どもを中心軸に置いてさまざまな専門領域の方法論を学びながら,子どもの発達について学際的に研究を深めており,大学院の履修コースとしては全国的に数少ない場となっています。現代の子どもをめぐる問題は深刻かつ多様なものとなっています。それに対して,問題を生み出している要因を,個々の子どもの発達プロセスを明らかにすることで解明するだけではなく,社会的あるいは歴史的な視座からとらえ直すことで,問題の本質を見抜く高度な専門的研究力量を養成します。また,子どもが育っていくうえで,学校や地域,家庭においてかかわる文化の役割は見落とせません。子どもの発達の源泉である文化についても,それぞれの学問領域の成果に学びながら,学校・園や地域などのフィールドへの参加も含めて,理論的な分析能力と実践能力を形成します。以上のような学びと研究活動を通して,子どもの発達と教育に関する高度な知識と技術をもち,子どもが育つ場で起こる新たな問題に対処できる専門家の養成を行います。
大学院生の声
人とのつながりを出発点として,日々自らの視野と見識が拡がる場
橋本夢仁 さん(前期課程2 年生)
子ども発達論コースの最大の魅力は,人と人とのつながりをタテ・ヨコに大きく拡げることができる点です。コースの学生はモチベーションが高く,ゼミだけでなく,授業や院生控室において他ゼミの友人や先輩方と交流をし,様々な議論をすることによって,日々多くの見識を得ることができています。また,学会や研究会にも参加することで考えを深めたり新たな観点を得ることができるので,これらは非常に貴重な経験となっています。 私は現在,自閉症児の現実・虚構世界に関する認識の違いを,自閉症児自身の物語の産出・理解の面から見ていきたいと考えています。言葉によるコミュニケーションに困難があるとされている自閉傾向の子どもも,「人とつながりたい」という願いをもっています。そうした願いが子どもたちの語る言葉の中にどのように表されているのかを研究することで,「他者に物語る」ことの意味を考えていきたいと思います。
スタッフとカリキュラム
スタッフと研究分野・研究テーマ
氏名 | 職名 | 担当 | 研究分野・研究テーマ |
---|---|---|---|
岡部 恭幸 (おかべ やすゆき) | 准教授 | 前期課程 - | 【数理認識論,数学教育】 算数・数学の教材や授業を通して獲得される数理認識の構造や概念形成についての研究とそれに基づく教育内容や方法の開発に取り組んでいます。 |
北野 幸子 (きたの さちこ) | 准教授 | 前期課程 後期課程 | 【乳幼児教育学,保育学】 乳幼児 (0~8歳くらい) を対象とした,教育内容や方法,保育者の専門性,その確立や向上を図るシステムに関する研究 (専門組織の活動や政策) を行っています。 |
木下 孝司 (きのした たかし) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【発達心理学】 乳幼児期における自己と「心の理解」の発達を中心に,教示行為の発達と心の理論・実行機能との関連や,障害をもつ乳幼児の自己発達について研究しています。 |
國土 将平 (こくど しょうへい) | 准教授 | 前期課程 後期課程 | 【身体発育発達,保健体育科教育,健康・スポーツ測定】 日本やアジアの子どもの身体の発達や健康,体力・運動能力・運動動作の発達を計量学的に明らかにし,これらの相互作用を検証するとともに,教育・学習活動、生活環境や生活習慣の影響について研究しています。 |
五味 克久 (ごみ かつひさ) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【幼年音楽,リトミック,合唱指揮】 リトミック及び幼年音楽に関する研究です。どのような課題をどのように指導するか,といった事です。 |
鈴木 幹雄 (すずき みきお) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【図工・美術教育学,芸術教育に関連した教育学】 ヨーロッパの芸術教育学に関心があります。この点で,ナチズム期亡命者達によりアメリカにもたらされたヨーロッパの学問に関心があります。 |
目黒 強 (めぐろ つよし) | 准教授 | 前期課程 - | 【児童文学,国語教育】 近代日本における児童文学という文学場の成立過程の検討を中心に,歴史社会学的観点から児童文学の研究に取り組んでいます。 |
主な授業科目と概要
【博士課程前期課程】 子ども発達論コース
科目名 | 科目概要 |
---|---|
乳幼児発達特論I | 乳幼児期における発達過程について,コミュニケーションの発達を中心に検討する。これらの講義を通して,乳幼児の発達をとらえる視点を習得し,発達支援について考察する力量を養成する。 |
乳幼児教育保育特論I | 乳幼児教育保育の原理と方法について講ずる。国内外の論文を講読し保育の質とその向上に関わる研究動向と保育改革の実際を学ぶ。 |
数理認識発達特論I | 数理認識能力への発達に関する基礎理論について学習し,数学教育の観点から考察する。 |
造形表現学習特論I | 講義では戦中・戦後米国におけるヨーロッパ亡命芸術教育学者達の貢献とリベラリズムの遺産が研究される。題材は,ヒットラー帝国の誘惑を拒絶した女優の生涯,シカゴにみるヨーロッパ亡命知識人達の苦悩と遺産他。 |
幼年音楽表現特論I | 日ごろ感じている音楽についての疑問を出し合って検討するとともに各年ごとに決めたテーマをもとに資料等を調べる。 |
児童造形表現特論 | 美術を通した子どもの発達支援活動の検討とそれらの活動がもつ意義について考察する。 |
児童文学表現特論 | 子ども観の歴史的検討を通して,児童文学における子ども表象の歴史的・社会的・文化的意味について考察する。 |
身体運動発達特論I | 身体の発育や運動能力の発達,生活習慣との相互作用に関わる文献をレビューし,子どもの発育発達的理解を研究的視点で促す。 |
ヒューマンコミュニティ創成研究 | ヒューマンな環境形成の条件や前提,問題群等への理解を深め,博士課程前期課程での個別の専門領域での学習・研究のための基本的な視点を養う。 |
【博士課程後期課程】 子ども発達論分野
科目名 | 科目概要 |
---|---|
*乳幼児発達特論II | 乳幼児期における自他理解という角度から,乳幼児期の発達研究に関する今後の課題を明らかにするとともに,発達心理学研究の理論問題を考察する枠組みを相互に検討する。 |
*乳幼児教育保育特論II | 乳幼児教育保育関係の国際組織の研究動向や組織の活動を検討し,保育の質とその維持向上に関する議論を分析し,今後の展望を図る。 |
*数理認識発達特論II | 数理認識能力への発達に関する高度な理論について学習し,数学教育の観点から検討を加え,その知見に基づく教育の内容や方法について考察する。 |
*造形表現学習特論II | 現代芸術教育学が,1)ドイツ語圏における20 世紀芸術教育学の歴史と理論,2)新教育運動の歴史と理論,3)ドイツにおける芸術教育の実践,これら三者の相互影響関係として創られてきた経緯が研究される。 |
*幼年音楽表現特論II | 特にテーマは決めていない。受講生と話し合いながら研究を進める。 |
*身体運動発達特論II | 身体の発育や運動能力の発達,生活習慣との相互作用に関わる最新の研究成果をレビューし,子どもの発育発達的理解を研究的視点で促す。 |
*教育能力養成演習 | 大学教員としての教育能力・教育資質の開発を目指し,指導教員の指導監督のもとで,専門領域の基礎的内容を取り扱う学部の講義科目の「模擬授業」を実施する。 |
修了と進路
修士論文テーマ
子ども発達論コースの修士論文テーマをご覧ください。
主な進路
子ども発達論コース 修了生の進路 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程前期課程教育・学習専攻)をご覧ください。
専修免許の取得状況
子ども発達論コース 資格免許の取得状況をご覧ください。
Updated: 2012/01/10 (Tue) 10:55