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神戸大学大学院人間発達環境学研究科 人間環境学専攻 【博士課程前期課程】 生活環境論コース/【博士課程後期課程】 生活環境論分野

生活環境の課題を発見し,分析し,解決する能力を持つ人材を養う

現代の生活とそれを取り巻く環境は,高度化する社会の中で複雑な状況に置かれ,急速な時代の変化の途上にあります。本コースでは,生活環境を形成する生活空間・生活技術・生活資源の3領域について,今日的な課題を取り上げ,分析し,問題解決を図ろうとしています。本コースの教員の研究手法は社会科学,人文科学,自然科学と,文系・理系の両方にわたっているのが特色です。「生活空間」領域では,住居,福祉施設,緑地,都市などの空間の実態を調べ,人間の発達や環境問題の観点から,望ましい生活空間をどのように創造すべきかについて追求します。「生活技術」領域では,ハイテク繊維などの機能性製品や福祉機器などの新しい技術が人々の発達をどのように支え,暮らしの環境にどのような変化をもたらしたのか,その実態を把握し,技術利用の方向性を考えます。「生活資源」領域では,生活環境を支える植物・食などの資源がどのように生産され,加工され,利用されるのが望ましいのか,この課題を遺伝子工学,環境科学,安全・安心などの観点から追求します。本コースでは,快適な生活のあり方として,生活環境形成に関する課題を発見,分析し,解決する能力を持つ人材の育成を目指しており,研究者をはじめ,暮らしに関する政策の立案・運営を担う中央ならびに地方行政セクターの人材,生活創造活動につなげる企画・実践力を備える企業活動セクターのキーパーソン,及び地域の生活と環境の課題に取り組むNPO・NGO の人材,などを養成したいと考えています。

大学院生の声

生活に「環境」を呼び込む

写真
石口勇輝 さん(前期課程2 年生)

何かに集中して挑戦しているとき,普段以上の力が出た経験はありませんか。そのときに「何か」を感じませんでしたか。たとえば,環境との「一体感」を。 私は乗馬を対象にして,騎手が環境をどのように捉えているのかをテーマに卒業論文を作成しました。その結果,騎手は1)自分,2)馬,3)自分と馬の関係という3 つの事項を段階的に意識することで,多様な情報を乗馬という行為に結びつけていることが分かりました。この3つをつなぐ関係性こそが「環境」なのです。 私たちは自然,社会,情報の間に多様で複雑な関係を作り出しています。そこには数多くの相互関係があり,「環境」という一つのシステムが構築されています。システムが「環境」であるなら,そこには様々な研究の視点が生まれます。そのことをここで学ぶのです。ここで自分に合う「環境」を探してみてください。きっと予想以上のものに出会えます。

過去版

スタッフとカリキュラム

スタッフと研究分野・研究テーマ

氏名職名担当研究分野・研究テーマ
市橋 秀樹
(いちはし ひでき)
教授前期課程
後期課程
【植物環境学】
植物が生活環境において果たしている多様な働きの定量的評価と,それに基づく植物を利用した快適な生活環境作りについて研究してします。
井上 真理
(いのうえ まり)
准教授前期課程
後期課程
【衣環境学,感性工学】
布の風合い (触感)・衣服圧・衣服内気候を,材料特性から実験的,理論的に解析し,着心地の良さをもたらす製品を設計,提案する研究を行っています。
近江戸 伸子
(おおみど のぶこ)
教授前期課程
後期課程
【環境バイオテクノロジー】
イネ科,マメ科,アブラナ科植物,バイオエネルギー植物を対象にした植物環境学ならびに植物の新機能の開発,器官分化についての細胞・ゲノム・染色体・遺伝子の研究を行っています。
白杉 直子
(しらすぎ なおこ)
教授前期課程
後期課程
【食環境学】
茶園をフィールドとした農地の多施肥による地下水の窒素汚染低減化,および有機酸の塩味増強・抑制効果 (ハエ味細胞を用いた電気生理学実験による評価) の研究を行っています。
城 仁士
(じょう ひとし)
教授前期課程
後期課程
【生活環境心理学】
身近な生活環境での人間活動の心理学的解明を行っています。研究者と研究対象者の協同的実践で新たな人間科学的意味の再発見に努めています。
田畑 智博
(たばた ともひろ)
講師前期課程
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【環境システム工学】
地域,個人等,様々なレベルにおける社会・経済活動とそれが及ぼす環境影響を体系的に解析し,持続可能な社会を構築するための手法論を開発するとともに,実学への展開方法を提案する研究を行っています。
平山 洋介
(ひらやま ようすけ)
教授前期課程
後期課程
【生活空間計画】
住居からコミュニティ,都市にいたる生活空間をどのように構想すればよいのか,という問題を理論と実証の双方から考えています。
福田 博也
(ふくだ ひろや)
准教授前期課程
後期課程
【生体電子計測,ヒューマンエレクトロニクス】
温度・湿度・光強度といった環境要因をコントロールした生活空間において,いろいろな環境刺激に対する人や植物の生体電位応答について研究しています。
矢野 澄雄
(やの すみお)
教授前期課程
後期課程
【振動工学,バイオメカニクス】
日常生活動作を力学的に分析。身体機能・特性の計測。福祉・介護や健康科学関連の機器・用具の開発。経験やノウハウを形にする研究を行っています。

主な授業科目と概要

【博士課程前期課程】 生活環境論コース

科目名科目概要
生活空間計画特論I住居からコミュニティ,都市,地域にいたる生活空間の構築のための計画・政策を対象とし,その理論と実践の国際比較に関して講述する。
機械機能応用特論Iバイオメカニクス的知識や生活の場面での動作分析からの知見をもとに,人間特性を考慮した生活機器・用具設計の考え方について説明する。
生活環境心理特論I環境移行や人間の発達を支援する生活環境づくりを心理的な側面から集合性理論・活動理論的に論究する。
植物環境学特論I植物が人間に及ぼす影響を,栽培をすること,鑑賞すること,触ること,食べること,植物の発する音を聞くことなどを通して考え,植物環境の意義について論議する。
食環境学特論I食環境学の今日的課題の中からテーマを絞り,環境学の視点から問題解決のためのアプローチの方法について考える。
衣環境特論I衣環境設計に対する自然科学的,社会科学的手法によるアプローチを行い,着心地などの感覚を客観的に評価する方法を理解する。
環境バイオテクノロジー特論I一般的な農業,食糧生産,医療,環境分野のバイオテクノロジーの理解,それらの先端研究の取り組みについて理解する。
電子応用機能特論Iこれまでのエレクトロニクスに環境技術を取り入れた電子応用機器の設計法について論じる。また,電子応用技術の人間工学的な利用法について考察する。
生活環境デザイン特論人が環境をどのように知覚し,判断し,記憶し,評価しているか,また対人的な社会行動において環境がどのように影響するかなどについて講じる。
環境植物生理学特論植物がもつ大気浄化や土壌浄化などの環境浄化効果に関する論文を講読し,生理学的見地からのアプローチの可能性について論じる。
ヒューマンコミュニティ創成研究ヒューマンな環境形成の条件や前提,問題群等への理解を深め,博士課程前期課程での個別の専門領域での学習・研究のための基本的な視点を養う。
生活環境共生特論I主に環境・エネルギー問題に関する国内外の最新の研究論文を輪読し,持続可能な地域社会構築のための方法論を議論する。

【博士課程後期課程】 生活環境論分野

科目名科目概要
*生活空間計画特論II生活空間計画の理論・実践に関して,欧米諸国とアジア諸国における最新の動向を英語文献にもとづいて解説し,日本と諸外国の比較を行う。
*機械機能応用特論II人間特性を考慮した生活機器・評価法に関して,振動を応用した事例などを紹介し,感覚との関係や加齢による相違などついて考究する。
*生活環境心理特論II快適で主体的な発達を支援する生活環境の創出にはどのよう要因が必要なのかを心理学的に考究する。
*植物環境学特論II植物環境に関する新しい見方,多様な考え方を理解し,それぞれの得失について明らかにして,植物環境に関する私見を論理的に展開できるようにする。
*食環境学特論II最近の「味覚」研究あるいは「食生活が生み出す環境問題」について,文献を検索し,講読,当該研究の国内外の進展状況を把握・考究する。
*衣環境特論II感覚を付加価値とした生活製品の性能,感覚計測,衣生活にかかわる環境問題と最先端技術とのかかわりについて解説し,その内容について議論する。
*環境バイオテクノロジー特論II最先端の農業,食糧生産,医療,環境分野のバイオテクノロジーの研究について立案し,有効性について議論する。
*電子応用機能特論IIエネルギー効率化利用の観点のみならず電磁環境にも配慮しながら,インバータ技術の生活機器,医療機器,介護・福祉機器への応用法について考察する。
*教育能力養成演習大学教員としての教育能力・教育資質の開発を目指し,指導教員の指導監督のもとで,専門領域の基礎的内容を取り扱う学部の講義科目の「模擬授業」を実施する。

修了と進路

修士論文テーマ

生活環境論コースの修士論文テーマをご覧ください。

主な進路

生活環境論コース 修了生の進路 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程前期課程人間環境科学専攻)をご覧ください。

専修免許の取得状況

生活環境論コース 資格免許の取得状況をご覧ください。

コースサイト

Updated: 2011/06/24 (Fri) 16:30