第6回理系AO入試フォーラム「理系AO入試が開く科学者へのトビラ」の開催趣旨
グローバル化の急速な進展にともない,多様な価値観が複雑に交錯しながら絶えず急激な変化に見舞われる21世紀社会では,企業やその他社会セクターが必要とする人材には,自ら課題を発見し自発的に探究を進めていく研究者的な資質が求められるようになってきています.一方,研究者に対しても,専門的な知識や能力だけでなく,幅広い視野と社会的関心,企画力やコミュニケーション能力,さらにコーディネート力なども求められるようになってきました.このような資質と能力を持った人材を育成するには,高校,大学を通じて,自発的な学びや研究活動を支援する環境の提供が必要です.
近年は,高校における課題研究や科学コンテストも盛んになり,高校での研究活動を評価するAO入試も出てきています.神戸大学においても,ささやかながらこのような取り組みを継続して行ってきています.しかし多くの場合,現状では,高校,大学,企業それぞれが,他とは独立して学習支援や人材育成に取組んでいることが多いのではないでしょうか.大学入試や「就活」が,これをさらに分断しているという側面もあります.
これからの社会にとって,自ら問題を発見し他者と協働しつつ研究能力を発揮して課題解決に当たる人材,言い換えれば社会性とリーダーシップを備えた研究者的資質を有する人材の育成が急務といえるでしょう.しかし,そのためには,高校,大学,企業,社会が互いに協力し合い,人材育成のビジョンや実践事例に関する情報を共有し,相互に意見交換し合うネットワークの形成が重要になってきます.高校の教員の方々や,企業で経営や人材育成に携わる方々と,大学で教育や入試にかかわる者との間で忌憚のない意見を交換する場を提供できればと考え,今回のフォーラムを企画いたしました.
理系AO入試が投げかける諸問題を通して,日本の教育のかたちを今一度考える良い機会にもなるかと思います.年度末の多忙を極める時期ではありますが,ふるってご参加くださいますようお願いいたします.
神戸大学発達科学部
神戸大学 サイエンスショップ
Updated: 2011/02/24 (Thu) 21:19