神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教育・学習専攻 【博士課程前期課程】 発達支援論コース/【博士課程後期課程】 発達支援論分野
現場の実践者と協働した実践的研究を行う
発達支援論コースは前期,後期ともに,現代社会における人間形成機能の社会的,教育的な開発支援を研究対象にしています。具体的には「生涯学習支援」,「ジェンダー文化学習支援」,「成人学習支援」,「児童発達支援」,「継続教育支援」の5 つの分野に分かれ,アクション・リサーチを方法論とする実践的な研究を行っています。また研究科に設置されたヒューマン・コミュニティ創成研究センターの6 つの部門研究の内の,「ジェンダー研究・学習支援」,「子ども・家庭支援」,「労働・成人教育支援」,「障害共生支援」,「ボランティア社会・学習支援」の5 部門の活動と連動した,ノンフォーマル教育,インフォーマル教育領域での実践的,理論的研究に取り組みます。 なお発達支援論コースには全国的に見てもユニークな,1 年制の履修コースがあります。このコースは,主に現職の社会人に向けて開かれたものです。社会人が,豊富な現場経験を基に研究に取り組み実践経験を学問的に仕上げることを通して,再び戻った社会でさらにレベルアップした活動に取り組むことができるようになることを目的にしています。 また研究科には,のびやかスペース「あーち」というサテライト施設が付設されており,発達支援論コースの「子ども・家庭支援」と「障害共生支援」の2 つの部門による,アクション・リサーチの拠点になっています。このコースは,研究能力に実践能力を併せ持つ支援者として,企業や行政,NPO など幅広い領域で指導的な役割を果たすことができる,有能な人材の養成を目指しています。
大学院生の声
興味と視野を広げ,自分を成長させてくれる場所
衣笠梨代 さん(前期課程2 年生 )
私は学部生の時から親子リズム遊びの活動にスタッフとして参加していたことから,子育て支援に強く興味を持つようになりました。そして研究を深めたいと考え大学院に進学しました。子育て中の親や子どもたち,支援に携わるスタッフとの関わりの中で,現場で感じたことを出発点として,地域における子育て支援のあり方,親子での活動の意義を研究テーマとしています。
発達支援論コースでは,授業以外にも大学のサテライト施設での実践や合宿など,様々な学びの場があります。また大学院には留学生や異なる大学・学部出身の学生,それに社会人の学生も多く在籍しており,様々な研究を行っている人がいるため,授業等においてもいつも新しい視点を得ることができます。物事の捉え方や考え方も,人から影響を受けることが多いこの環境の中で,これからもさらに多くのことを吸収していきたいです。
スタッフとカリキュラム
スタッフと研究分野・研究テーマ
氏名 | 職名 | 担当 | 研究分野・研究テーマ |
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伊藤 篤 (いとう あつし) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【子ども家庭福祉論】 地域における子育て支援の質を高めるための支援構造を,家庭のライフサイクル・被支援者のニーズやリスクの水準・支援主体間の協働・センターモデルなどから検討します。 |
末本 誠 (すえもと まこと) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【社会教育,成人教育,成人学習論,ライフヒストリー】 成人が学ぶことにはどのような意味があり,どのような支援が求められているのかを,ライフヒストリーを応用することによって実践的に探究する研究を行っています。 |
津田 英二 (つだ えいじ) | 准教授 | 前期課程 後期課程 | 【生涯学習論,障害者学習支援論】 障害に関する社会的課題を切り口として,インクルーシヴな社会に向かう人々の学びの方法や過程を追究する実践的研究を行っています。 |
朴木 佳緒留 (ほうのき かおる) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【ジェンダー問題と教育・学習】 現代日本のジェンダー問題の特質をとらえ,ジェンダー問題克服のための学習支援のあり方や方策を追究する実践的研究を行っています。 |
松岡 広路 (まつおか こうじ) | 教授 | 前期課程 後期課程 | 【生涯学習論,福祉教育・ボランティア学習論】 ESD推進の原理・システムを,生涯学習論および福祉教育・ボランティア学習論の観点から考究し,ポスト近代教育の枠組みの構築をめざしています。 |
主な授業科目と概要
【博士課程前期課程】 発達支援論コース
科目名 | 科目概要 |
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生涯学習支援特論I | インフォーマル教育・ノンフォーマル教育・フォーマル教育の関係性を,ESD の観点から考究する。 |
成人学習支援特論I | 社会的排除の問題に焦点を当て,障害,社会政策,社会福祉,障害児教育などに関する基礎的なディシプリンに親しむ。 |
継続教育支援特論I | 継続教育の中でも,労働や職業に関わる成人教育を実践的に研究する授業。ライフヒストリーを成人教育に応用することを目的にした,問題点の整理や実地のアクションリサーチに取り組む。 |
ジェンダー文化学習特論I | 現代日本のジェンダー問題の固有性について,受講者同士のディスカッションを交えて,その問題克服のための課題を追求する。受講者の既習程度に応じて具体的な教材を設定する。 |
児童発達支援特論I | 家庭・学校・地域において展開されている子どもの発達を支援する多様な取り組みについて,子ども家庭福祉論・発達心理学・教育心理学などの観点から理解する。 |
子ども・家庭支援論 | 国内外で展開されている子育て支援実践を,予防/ 対応・支援主体間の協働・地域子育て拠点としての機能などの観点から検討する。 |
労働・成人教育支援論 | 院生自身の社会での活動経験を基にしながら,支援という理念の意味やその理論的な背景を学び,ライフヒストリーを成人教育に応用するという実践的なテーマに取り組む。 |
ヘルスプロモーション論 | 主として青少年を対象とした国内のヘルスプロモーションに関する文献を読むことによって,批判的思考力を形成する。 |
ボランティア社会・学習支援論 | 市民的・社会的活動の原理を,生涯学習論・ESD の観点で考究する。 |
ジェンダー研究・学習支援論 | ジェンダー問題の解決を目指す教育・学習について概観し,受講者の関心もふまえて具体的な教材を指定した上で,問題の解決策を探るディスカッションを行う。 |
障害共生支援論 | 共生社会をめざそうとする社会的実践を題材として,日々起こる問題に焦点を当てながら,それを研究として成り立たせていく方法を模索する。 |
発達支援技術論 | 大学サテライト「あーち」が提供する「赤ちゃんふれあい体験」に参加することを通して,支援技術のあり方に関する受講生の理解を深める。 |
ヒューマンコミュニティ創成研究 | ヒューマンな環境形成の条件や前提,問題群等への理解を深め,博士課程前期課程での個別の専門領域での学習・研究のための基本的な視点を養う。 |
【博士課程後期課程】 発達支援論分野
科目名 | 科目概要 |
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*生涯学習支援特論II | 福祉教育・ボランティア学習やESD に関連する先行研究を踏まえて,おもにリフレクションの機能について考究する。 |
*成人学習支援特論II | 社会的実践と個人・集団の学習との関係を追究する。実践者・学習者の思いを大切にしながら,社会的価値のある実践を促進していく実践的研究のあり方や方法を論議する。 |
*継続教育支援特論II | 継続教育の理論的・実践的課題について,より原理的な論述を行う。とりわけ成人の学習理論を進める糸口として,ガストン・ピノーの自己教育論を検討する。 |
*ジェンダー文化学習特論II | 受講者の研究テーマに照準をあて,そのテーマと関係するジェンダー問題を取り上げ,文献購読を行う。2009 年度には「科学技術とジェンダー問題」を取り上げた。 |
*児童発達支援特論II | 家庭・学校・地域において展開されている子どもの発達を支援する多様な取り組みについて,受講生の専門領域から批判的に検討し,課題解決の方策を導出する。 |
*教育能力養成演習 | 大学教員としての教育能力・教育資質の開発を目指し,指導教員の指導監督のもとで,専門領域の基礎的内容を取り扱う学部の講義科目の「模擬授業」を実施する。 |
修了と進路
修士論文テーマ
発達支援論コースの修士論文テーマ、発達支援論コース (1年履修コース) の修士論文テーマをご覧ください。
主な進路
発達支援論コース (2年) 修了生の進路 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程前期課程教育・学習専攻)、発達支援論コース (1年) 修了生の進路 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程前期課程教育・学習専攻)をご覧ください。
専修免許の取得状況
発達支援論コース 資格免許の取得状況をご覧ください。
Updated: 2011/06/24 (Fri) 16:28