ロンドン大学教育大学院 講演会 子育て支援に関する学術講演会「イギリスの子育て支援に学ぶ Ⅳ」
開催について
チラシ (178KB)
- 日時
- 2011年11月7日 (月) 13:30~17:00
- 会場
- 神戸大学発達科学部 A棟2階 大会議室
- 対象
- テーマに関心のある方ならどなたでも参加できます。通訳付です。
- 参加方法
- 事前の申し込みが必要です(すでに申し込まれた方は不要です)。参加ご希望の方は、お名前・ご所属・連絡先を明記して、メールかFAXで担当者までお申し込みください。FAXの場合はチラシの裏面のFAX申込用紙 (178KB) をプリントアウトしてご利用ください。
- 主催
- 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 ヒューマン・コミュニティ創成研究センター (HCセンター) 子ども・家庭支援部門
- お申し込み・お問い合わせ先
- メール: yuakano-teramura@stu.【続けて「kobe-u.ac.jp」を入力してください】、FAX: 078-803-7971(内線7978)寺村ゆかの
プログラム
【講演1】 13:30~15:00(質疑応答を含む 逐次通訳あり)タイトル | Effective inter-agency working in child and family centres: A UK perspective on other European approaches 親子センター(親子のひろば)における効果的な組織間の連携・協働-イングランドから見た他のヨーロッパ諸国のアプローチ- |
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講師 | Dr. Janet Boddy (ロンドン大学教育大学院 トマス・コラム研究所 上席研究員) |
講師プロフィール
- Dr. Janet Boddy
専門は児童心理学。1997年よりInstitute of Educationに勤務。子ども・若者とその家族に対するペアレンティングやその他の家庭支援サービスを専門的に研究。子どもと家庭を対象とした政策と施策に関する欧州全体にまたがる調査に関心がある。2000年以降は、トマス・コラム研究所の同僚とともに、「社会による教育(Social Pedagogy)」に関する調査を実施している。この調査には、養護されている子どもへの施策に関する欧州全体にまたがる研究、養護の「届きにくい」若者とその家庭に対する支援に関する研究、英語を母語としない国々におけるペアレンティング支援に関する研究が含まれている。
講演1の概要
イングランドの政策提言書「Every Child Matters」には組織間の連携・協働が重視されているが、これは異なる専門職間あるいは異なる組織間が一緒に事業をおこなったり情報を共有したりする方法を改善していくことを目的とする。
この講演では、イングランドでなされた研究成果や親支援に関するヨーロッパ諸国をまたぐ研究成果を利用しながら、イングランドおよび他のヨーロッパ諸国の親子センターにおける専門職間・組織間の連携・協働の全体像を示す。これらの研究成果は、親支援に関する政策と実践を取りまとめて報告するようイギリス政府から(ロンドン大学に対して)委託された業務に基づくものであり、デンマーク・フランス・ドイツ・イタリア・オランダにおける政策と実践を各国の専門家(研究者)が協力して完成させたものである。
専門職間・組織間の連携・協働の発展は多くのヨーロッパ諸国では優先順位が高く、親子センターなどは専門職間の連携・協働のための「中心」としての役割をはたしていることが多いのに対し、組織間の連携・協働へのアプローチと「どんな効果があるか」をいかに適切に判断するかに関する理解においては国によって違いがある。この違いが政策と実践における発展の程度を示すと同時に、組織間の連携・協働の効果・成果をいかに最適に評価すべきかに関する新しい見通しを与えてくれる。講演で考察する主な問いは、「組織間の連携・協働と専門職間の連携・協働の違いは何か?」「組織間の連携・協働において“何が効果的であるのか”を一体どのように評価できるのか?」「諸研究から組織間の連携・協働をどのように効果的なものしていくかに関して諸研究は私たちに何を教えてくれるか?」「誰のための評価か?組織間の連携・協働によって利益を得るのは誰か?」
タイトル | The relationship between social support, parental mental health
and later child outcomes ソーシャルサポートと親の心の健全さと将来子どもに 見られる結果との関係 |
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講師 | Professor Marjorie Smith (ロンドン大学教育大学院 トマス・コラム研究所 教授) |
講師プロフィール
- Dr. Marjorie Smith
専門は心理学。児童教育学部、子ども・家庭・健康学科の教授であるとともにトマス・コラム研究所の所長を務める。家庭と養育のあり方、家庭やそれに関連する諸要因が子どもの発達・福祉に及ぼす影響を研究しており、その中には、子どものストレス、小さな傷、養子・養親、子どもへの暴力、不利な環境における養育などの諸問題が含まれている。
講演2の概要
育児力、すなわち子どもを育てるための有能さは、親側の要因・子ども側の要因・家族の要因・周囲の環境要因に影響を受けると同時に、貧困から生じるストレス・うつなどの精神的健康の問題・夫婦間の不仲などのリスク要因にも影響される。ストレス要因と家族機能と育児力と子どもに見られる結果の間の関連性を示す観察疫学に基づくモデルが紹介される。ストレス要因と子どもに見られる結果とを強めたり弱めたりするといったソーシャルサポートが果たす役割がどんなものであるかが示される。
また、様々な視点から数多くの研究者によって説明されているソーシャルサポートの概念が検討される。例えば、手段的・情緒的・実体的支援、積極的な社会的交流、愛情や尊敬など支援のタイプという観点からそれを分類する研究者もいれば、特定のストレス要因と支援を受ける人の能力やニーズそして支援を提供する人が誰であるかに依存しながらも、それが本質的には相互関係的で交流的なものであると考える研究者もいる。このようなプロセスに焦点を当てている概念の中には、ストレスと対処に関する研究成果と明らかに重なる点がある。
実際になされている多様なタイプのソーシャルサポートの主にイングランドにおける事例とそれらがどのように親および子どもに見られる結果に関係しているのかが紹介される。
Updated: 2011/12/02 (Fri) 14:13