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学習者の多様化への対応


川木 冴子

(所属: 人間形成学科 教育・学習論講座、研究分野: 日本語学)

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著者近影

近年、日本語教育界では、学習者の多様化に応えられる教育のあり方について、盛んに論議されています。元々あった個人的特性のバラエティーに加えて、特に最近の傾向としては、学習者のニーズが多様化したということがあります。このような学習者に目を向ける中で、現在、私は以下の二つの活動に関らせて頂いています。

一つは、「今までとは全く違ったタイプの教材作成」の試みです。「日本語で書かれたものを読みたいだけ」、「半年しか勉強する時間が無い」など、到達目標や学習期間が様々な学習者に対して、これまでのように、一律に、従来のエリートの為の方法 ―専門の研究が出来るような日本語力の獲得のために何年も日本語学習に費やす方法― を用いたのでは、効果的な教育は行えません。私の参加するグループの試みの特徴は、四技能 (聞く・話す・読む・書く) を全く別々に学べる教材であること、初級から生の日本語教材を使用し、初級なりに何らかの情報を取れるように誘導すること、などです。web化されて、海外からもアクセスして自習できる教材になるのは、まだ数年先の予定ですが、現在は、教材の大量生産に移る前のモデル教材作成と、紙媒体の試作品を身近な学習者に提供している段階です。

もう一つは、国内の学習者多様化として、今、最も早く適切な対応が望まれている「年少者の日本語教育」への協力です。入管法の改定に伴う外国人労働者の増加は、公立の小・中学校にその子弟を多く送り込むことになり、現場の教師たちに大きな負担を強いることになっていますが、子どもたちも“授業についていけない”などの辛い体験をすることになっている、というのが現状です。この問題については、2003年に県の要請で現状の調査を行って以来、留学生センターの先生を中心として、子ども達の日本語教室への助言、先生方への講演など、様々な支援・協力が行われてきました。私がこの活動に参加させて頂くようになったのはごく最近で、これまでは教材の検討などの後方支援のみでしたが、今後、様々な形で協力できる機会が増えていくであろうと思っています。

Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:05