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ひょうご講座に携わって


齊藤 惠逸

(所属: 人間環境学専攻 環境基礎論講座、研究分野: 分析化学)

私の専門分野である「分析化学」は物質のはかり方を研究する学問で、大変地味ですが多いに社会に役立っています。近年、様々な物質による環境汚染が社会的な問題となっています。測るだけが環境ではありませんが、環境問題を議論するためには何がどれだけ含まれているかを測る必要があります。また、最近では「食の安全」に社会的関心が集まっていますが、分析化学はここでも多いに活躍しています。

私が専門とする「分析化学」は多いに社会貢献していますが、私自身が“いわゆる社会貢献”をしているかは別問題でほとんど無縁です。私が多少なりとも社会と接点を持ったことと言えば、取りまとめ役および講師の一人として2003年度の「ひょうご講座」への科目提供に携わったことぐらいしかありません。

私が取りまとめ役を引き受けた2003年度の数年前から自然環境論コースが中心となって「ひょうご講座」の一科目を担当していました。繰り返し受講する人がいるということで、科目内容がこれまでのものと重ならないようにするのに結構苦労しました。色々考えた末、私の専門が分析化学ということもあり「目に見えないもの (微量成分) を見る (測る) 技術の紹介をとおして環境を考える」という意図で科目名を「分子から宇宙まで、環境を見る分析技術最前線」とし、10タイトルを設定しました。実施期間は2003年5月13日~7月15日 (毎週火曜18:30~20:00)、受講対象者は市民一般、場所は兵庫県立神戸学習プラザ (神戸交通センタービル)、受講者数は46人でした。

私が講師として担当したタイトルは「環境中の様々な分子を見分けるには」です。以下にその時講義した内容を簡単に紹介いたします。タイトルには分子とありますがイオンも含めて、私の研究室で行った大学院生との共同研究の紹介を通して分子やイオンの見分け方の一端を紹介しました。

1. 記憶喪失性貝毒ドウモイ酸の分析
1987年カナダ大西洋岸のプリンスエドワード島において初めて確認された集団食中毒以来、中毒の原因物質であるドウモイ酸の様々な分析法が検討されてきました。検査機関において多数の試料の分析をおこなう際には大変な労力を必要とするため、簡便で迅速な分析方法の開発を目的に行った研究です。
2. 土壌抽出液中の陽イオンおよび有機酸の分析
環境問題の一つである森林衰退の原因として幾つかの説が提示されており、その一つとして土壌酸性化説があります。酸性化が進むと、毒性の強いアルミニウムイオン (Al3+) が溶出し植物の生育を阻害するという説です。「どのくらい酸性化が進むとAl3+が溶出してくるのか」を評価するために行った研究です。
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写真1: ドウモイ酸の分析に用いた装置
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写真2: 土壌抽出液の分析に用いた装置

Updated: 2009/09/17 (Thu) 12:10