運動・スポーツの汗に貢献すること
高見 知至
(所属: 人間行動専攻 人間行動論講座、研究分野: 運動心理学)
私の専門は「運動心理学」、近年拡大している応用心理学の一端ではあるが、何よりも運動・スポーツを行っている人、指導している人、また観ている人々の行動や気持ちを直接の研究対象としている。そのような者が社会貢献の道を模索すると、おのずと答えは一つ「運動やスポーツで汗をかいている現場に貢献すること」になる。以下では、今まで自分に何ができてきたのかを振り返りながらレポートしたい。
写真1: 休憩時間の質疑応答
まず、運動・スポーツ指導者への貢献には積極的に関与してきた。現在さまざまな種類の指導者資格があり、それらの資格の取得や更新には実技と理論の研修が義務付けられている。そこで私が担当しているのは、運動・スポーツ心理学に関する講習である。これまでに神戸市中央体育館が主催した健康運動実践指導者講習会や日本障害者スポーツ協会認定中級指導者養成講習会、日本体育協会上級指導者養成講習会などの講師を務めてきた (写真1)。どれもほぼ2~3時間の講習ではあるが、準備に気合が入るし当日はとても緊張する。なぜならば相手はまさしく運動やスポーツの指導現場で日々尽力している方々である。言い換えれば、私の研究対象となる運動やスポーツの現象を生み出してくれている人たちでもある。そのような方々に向かって話す以上は、必ず「今日の話は面白かった。」「明日から役立ちそうだ。」と思ってもらいたい。私にとっては大学で教鞭をとり研究に従事する自分のアイデンティティが試される場なのである。
毎回必ずしも上手くいくわけではないが、休憩中や終了後に質問に来てくれるととても嬉しいし、時間を惜しまず付き合っている。また整体院を開業している受講生の方が自身のHPブログの中で有意義な講演だったと書いてくれたことがあった。そんな時はまさしく社会貢献の充実感を持てる瞬間である。今後も講師要請には積極的に応えていきたいが、まず第一に自分の研究で講演内容を構成できるようになることを目標としたい。
写真2: ゼミ生の笑顔も思わぬ収穫
また以前、本学附属明石幼稚園の研究会でも講師を務めた縁から、県内の幼稚園の研究事業に指導助言を行っている。研究テーマは「一人一人のよさを生かし、からだを動かす楽しさを実感する子どもをめざして」で、研究期間2年の長丁場である。やはり、引き受けた以上は自分の研究や野外教育歴すべてを駆使して、目の前の園児やお母さん方の笑顔に貢献したいと思う。さっそく2008年11月に母親向け講演会とゼミ生による親子運動遊び教室を行ってきた (写真2)。そのほか、兵庫県教育委員会ひょうごスポーツ促進委員会メンバーとしてファミリースポーツ振興策の基礎資料作成に加わる機会にも恵まれている。
以上、ささやかな社会貢献ではあるが、地域や学校、ファミリーでスポーツに興ずる姿が少しでも増えていき、その結果、最近の暗いニュースが一つでも減ってほしいと願っている。
Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:06