生涯スポーツ研究による社会貢献
山口 泰雄
(所属: 人間行動専攻 人間行動論講座、研究分野: スポーツ社会学・生涯スポーツ論)
私の専門は、スポーツ社会学と生涯スポーツ論です。世界のスポーツ振興政策やスポーツ参加に関する研究を行っています。こういった研究成果をいかに、実際のスポーツ人口の拡大につなげるか、身近で、手軽に参加できるスポーツ環境をどのように創っていけるか、といった課題に挑戦し、社会貢献できるかが私のライフワークです。
1. 世界の“スポーツ・フォー・オール” (生涯スポーツ) の推進
幼児から高齢者、障害者を含めたすべての人のための“生涯スポーツ”は、国際的には“スポーツ・フォー・オール” (Sport for All) といわれ、誰もがスポーツを楽しむことができる施設・環境づくりと、プログラム開発を進めようとする社会的ムーブメントが展開され、TAFISA (国際スポーツ・フォー・オール協会) が統括機関です。
2008年1月にマカオで開催された「TAFISAアジア生涯スポーツ指導者講習会」の講師として、スポーツ・ボランティアやスポーツイベントに関する講義と演習を行いました。また、ASFAA理事としてアジア・オセアニア地域の生涯スポーツ振興に関わり、調査研究やコングレス講師、研究雑誌の編集を担当しています。
国内では、独立行政法人日本スポーツ振興センターが行っているtoto (スポーツ振興くじ) の収益などの「スポーツ振興助成委員会」委員とワーキング座長を務めています。また、中教審スポーツ・青少年分科会特別委員や兵庫県、芦屋市、伊丹市などにおいて、スポーツ政策の立案やスポーツ振興計画の策定や関わってきました。(参照: 山口泰雄「生涯スポーツとイベントの社会学」創文企画)
2. 総合型地域スポーツクラブの育成支援
2000年から、兵庫県は、「多種目、多世代、多目的、自主運営」という特徴を持つ「総合型地域スポーツクラブ」 (スポーツクラブ21 ひょうご) の育成事業を進め、県内の全827小学校区に総合型クラブが設立されています。私は、事業当初から全県推進委員、調査研究委員、クラブアドバイザーとして、事業のサポートを行ってきました。3本のプロモーションビデオの監修、また講習会やセミナー、シンポジウムに関わり、今では約35万人の会員が多様なスポーツを地域で楽しまれています。(参照:山口泰雄「地域を変えた総合型地域スポーツクラブ」大修館書店)
3. スポーツイベントのフィールドワーク
神戸大学に着任してから、様々なスポーツイベントのフィールドワークをゼミの学生と共に実施してきました。歩くイベントである「加古川ツーデーマーチ」には、10年間、参加者やボランティア調査を行い、調査報告書を実行委員会へ提出しました。5年前から、スポーツ観光立県を目指す、沖縄の「尚覇志マラソン」と「名護・やんばるツーデーマーチ」の参加者/ボランティア調査を行ってきました。翌年イベントに行くと、問題点が改善され、研究成果が活かされているのをみると、研究者冥利を感じます。(参照: 山口泰雄編著「スポーツ・ボランティアへの招待」世界思想社)
Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:07