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スクイークとスーパーサイエンスキッズ


髙橋 真

(所属: 人間環境学専攻 環境基礎論講座、研究分野: 情報論理学)

スクイーク (Squeak) というソフトウェアをご存知でしょうか。

スクイークは「パーソナル・コンピュータの父」ともよばれるアラン・ケイが開発したプログラミング環境です。オープンソース・ソフトウエアで誰でも自由に使うことができ、Windows、Mac OS X、Linuxなど多くのOSで動きます。スクイークではタイルとよばれるプログラムのパーツを組み合わせてプログラミングを行います。ペイントツールを用いて子どもが描いた車や動物をタイルプログラミングで自由に動かすことができるため、子どもでも簡単・自在にプログラミングを楽しめる環境として、日本各地でスクイークを用いた教育が展開されています。また、100ドルパソコンで話題をよんだOLPC (One Laptop Per Child) にもスクイークの上位互換のEtoysが搭載され、世界各国での普及も進んでいます。

私は2005年1月に放送されたNHK ETV特集「これからの科学、これからの社会~京都賞歴代受賞者からのメッセージ」でアラン・ケイが推進しているスクイークを用いた教育の実践を見てスクイークに関心をもちました。この番組でスクイークの可能性について興味を覚え、学生や院生にも紹介しようと考え、同じ年の夏休みに発達科学部で講習会を実施しました。さらに、多くの方にスクイークの面白さを知っていただけたらと思い、大学院総合人間科学研究科 (当時) のヒューマン・コミュニティ創成研究センター (HCセンター) サテライト施設「のびやかスペース あーち」のオープニング・セレモニーで「スクイークであそぼう」というコーナを作り来場した子どもたちにスクイークを実際に触ってもらいました。一人で対応していたため十分目が行き届きませんでしたが、子どもたちには楽しんでもらえたのではないかと思っています。「あーち」ではその後小学生向けのスクイークのワークショップも行いました。

このような活動がきっかけとなり2005年10月に発足したHPスーパーサイエンスキッズのアドバイザーに就任することになりました。HPスーパーサイエンスキッズは「明日のダ・ヴィンチを探せ!」をスローガンに「世界的なクリエーター / サイエンティストの卵を発見し、その育成をサポートする」ことを目的に、コンテストを開催し、また日本各地で「スクイーク・ワークショップ」を開催しています。私もワークショップに参加したり、コンテストの審査員を務めることで協力をしています。コンテストは1次審査を通過した小学生 (3年以上) と中学生が共通の課題をスクイークを利用しながら解決します。与えられた時間の中で、子どもたちが様々な発想を具体的な作品にしていくのを見ているのは非常にすばらしい経験でした。

HPスーパーサイエンスキッズは2009年2月にスーパーサイエンスキッズとしてNPO法人になり新たな出発をしました。私もいろいろな機会を通してスクイークの素晴らしさを広め、子どもたちが発見し創造することの面白さを知るためのお手伝いをしていきたいと思います。

Updated: 2010/04/09 (Fri) 11:17