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持続可能な地球環境創生と科学技術


榎本 平

(人間環境学専攻 環境基礎論講座)

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発達科学部発ベンチャーG & GTで開発した
One Day Cloning Kit

どうやら現在の地球の急速な温暖化は、地球史的な気候循環が理由でなく、霊長類の1種=ヒト (人間) の巨大化した生命活動が最大の原因であることは確かなようだ。19世紀の前半、地球上の人口は10億に満たなかったが、150年後の現在66億人を超えた。この数は、その生命活動に大量のエネルギー消費を必要とする哺乳類の中では群を抜いている。その知的活動によって巨大な生産技術を獲得した人間の動向が、今や地球の環境を大きく左右するほどの存在になった。しかし、それに見合うほどヒト=人間の知的感性は成熟してはいない。が同時に、多くの人が「このまま人間の欲望のまま進めば、地球環境は破壊され、人類の生存も危うくなる」ことに気付き始めている。私もその一人である。

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重油を生産する光合成単細胞藻類
Botryococuss braunii

ではどうやってこの難問を解決するか。人口を19世紀前半の10億未満に戻す?不可能だ。電気、ガソリン (石油) を使うのを止める?いずれ石油は50年もすれば無くなる。何かを止めることだけでは、地球環境を守りながら、尚且つ持続可能な人類社会の発展 (知的・感性的・経済的発展) を図ることはできない。良くも悪くも、人間の知的活動の結果としての科学技術が現在の人類による地球環境の破壊の根底にある。したがって、現在の地球環境の破壊=温暖化の解決は、禁欲的精神論的思考でなく、やはり“新たな科学技術の創造による持続可能な地球環境創生”を目指すしかないように思う。(その先にはおそらく“調和的地球環境を維持するまったく新しい人類社会システム”が新たに必要となるだろうが、、)。

このような思いから、バイオ技術の研究開発とその現実社会への還元を目的に大学発ベンチャー企業G&GT (Gene & Gene Technology) を2005年4月に起こし、製品化も実現してきた (写真)。その間、遺伝子解析技術を磨き、資源を持たない日本に新たな「循環型・持続可能なエネルギー生産技術」の開発を目指してきた。このような目的に合致する単細胞光合成生物がいる。それが“重油を生産するボツリオコッカス藻類Botryococcus braunii”である (写真)。太陽の光エネルギーと二酸化炭素CO2から重油を直接生産できるこの微生物は、小麦や稲と同じように人類と地球環境を救う逸材になるかも知れない。残りの研究活動をこの開発・改良に全力を尽くしたい。

Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:14