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大学教員としての責任、臨床心理士としての責任、そして ...


播磨 俊子

(心身発達専攻、人間発達論講座)

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研究室にて近影

臨床心理学という専門分野の大学教員として、また心の問題に関わる悩みを抱えている人に接していく臨床心理士として、多くのことを考えさせられる日々です。いじめや児童虐待あるいは「心の闇」ということばでしか表現し得ないかに思える非情な事件の頻発。そうした出来事・事件の背後に聞こえる心のSOS。そのSOSに応える専門家である臨床心理士を養成する大学院コース (臨床心理学コース: 資格認定協会第1種指定大学院) を担当している身として、今、真に心の問題に役立つ力量をもった臨床心理士を養成していくことの大切さを心にかみしめています。そしてこのことは、他のどのような社会貢献活動にも増して重要な私の社会的責任ではないかと思うこの頃です。

ところで、外部から要請される仕事の中には、大学の教員であるということ、臨床心理士であるということと同時に、女性であるということが微妙に大切な要因であるのではないかと感じることがあります。臨床心理士が重要な要因である仕事としては過去20数年に渡って関わってきた家庭裁判所調査官の方々の自庁研修の講師の仕事があります。今年度は大阪家庭裁判所と神戸家庭裁判所に行ってきました。検討されるのは少年事件や離婚などの事例ですが、調査官の方々が、事例をより深く理解して自分の調査・判断が事例の将来にとって本当に適切なものであったかどうかを検討される姿勢に、いつも敬意を感じています。多くのことを学び、そして少しお役に立てることをうれしく思っています。

大学教員にウエイトがある仕事は公共団体の委員会の仕事があります。いわゆる学識経験者としての参加です。たとえば神戸家庭裁判所委員を2007年度8月まで5年間、神戸青少年育成協議会委員を5年間やっています。大学教員としても臨床心理士としても、そうした委員会で吸収することが大きな力になっています。ただ気づくのはそうした委員会の委員がほとんど男性であるということです。男女共同参画の精神からすれば女性であるということも大切な要因のひとつなのではと思われるのです。もっと多くの女性がそうした場へ参画する機会をもつ職を得、女性委員が増える時代が来ればと思うのです。

Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:15