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数学と数理統計学の発展のために


白倉 暉弘

(人間環境学専攻 環境基礎論講座)

数学と数理統計学の発展のために貢献した3点について報告する。

1. 国際専門雑誌の編集委員

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数理統計学専門雑誌[Journal of Statistical Planning and Inference]の編集委員 (Associate Editor (1989~1997)、Coordinating Editor (1998~2007)) として通算18年間に渡って、編集に携わっている。出版元はElsevier Publishing Co.、科学専門書・雑誌の出版を数多く手掛ける世界最大の出版社である。編集事務局は米国にあり、編集委員の構成は、Editor-in-Chief (1名), Executive Editor (1名)、Honorary Editors (3名)、Advisory Editors (7名)、Coordinating Editors (14名)、Associate Editors (55名) (2007年末現在) からなる。2007年 (137巻) の実績は全12号が発刊され、計316編の論文が、4,066ページに及んで掲載されている。Editor-in-Chiefは編集委員の決定を含むこの雑誌に関する総責任者である。実際に編集業務に携わるのは、Executive Editor、Coordinating Editor、Associate Editorである。編集業務の最高責任者はExecutive Editorであるが、私が担当していたCoordinating Editorと Associate Editorの役目について以下紹介する。

Associate Editor
投稿論文の分野に応じてExecutive EditorやCoordinating Editorから依頼された論文の審査や、論文内容に相応しい一般の審査員を委嘱 (審査委員は2名以上) する。そして審査員の評価をもとに報告書を作成しExecutive EditorまたはCoordinating Editorに報告する。
Coordinating Editor
Executive Editorを補佐する。数理統計学の各分野を代表する研究者からなる。私は「実験計画法」の分野を担当している。Executive Editorから分野に応じて依頼された投稿論文について最終段階まで責任をもつ。Coordinating Editor自身で一般の審査員 (2名以上) を委嘱するかまたはAssociate Editorに論文評価を依頼する (上述)。送られてきた審査結果をもとに投稿者や審査員、Associate Editorと直接コンタクトを取りながら原稿修正を含め掲載可否を決定し、投稿者に通知する。最後に、投稿論文に関する記録はすべてExecutive Editorに報告する。Coordinating Editors14名中、日本国内は私1人だけであることは特筆すべきことである (写真参照)。

2. 日本数学会評議委員

2001年度と2004年度に、日本数学会阪神支部の代表として評議委員に選出された。いずれも日本の数学研究の発展のために貢献した。特に、2004年度は定期刊行雑誌「数学通信」の編集委員を兼務し、数学教育や数学界に関する提言・話題等について編集した。

3. 研究集会の実施

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今まで数理統計学に関する多くの研究集会を企画・実施した。ここでは直近の2件について報告する。

標題: 実験計画法とその周辺における組合せ的構造の解明とその応用
  • 期間: 2003年12月4日~12月6日
  • 場所: 和歌山県白浜町
  • 参加人数: 38名
  • 発表件数: 20件
標題: 実験計画法およびその周辺領域における組合せ構造の解明とその応用
  • 期間: 2005年11月24日~11月26日
  • 場所: 福井県芦原町
  • 参加人数: 36名
  • 発表件数: 23件

2件とも、科学研究費補助金 (A) の分担者として実施したものである。実験計画法およびその周辺領域に関心がある全国の研究者が、宿泊を共にして昼夜に渡って、最新の話題に関する研究発表・情報交換を行った。

Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:14