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Girls, be ambitious!


近江戸 伸子

(人間環境学専攻、環境形成論講座)

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写真 1. 科学実験講座の風景

近年、我々は地球環境問題や食の安全性の問題などの避けて通ることの出来ない重要な問題に直面しています。このような問題を解決するのは優れた科学分野の研究力・技術力です。しかしながら、多くの人は科学は難しく、自分たちには理解できないと思っています。その上、日本は少子であり、期待すべき次世代の中高校生の理科離れは、ますます進んでいます。大学教員で科学者のはしくれでもある私は、大学生、大学院生だけではなく、もっと若い世代に、科学の面白さ、親しみやすさを伝える社会的責任があると思っています。

私は、2007・2008年度の2年間にわたって、「女子高生ジュニア科学塾 in 関西」の実行委員を務めています。この試みは、関西や近辺の女子高校生 (女性限定!) に、科学により親しみを持って知ってもらい、将来、研究や技術分野、あるいは科学に十分理解のある社会人になってもらおうという試みです。実行メンバーは、関西の大学の教員ならびにNPO法人職員で構成され、文部科学省女子中高生理系進路選択支援事業の援助を受けています。2007年3月23~24日には神戸大学発達科学部を会場に、2008年3月15~16日には大阪大学工学研究科を会場に、女子高生のべ160名の参加者と1泊2日で、科学実験講座、ジュニアサイエンスカフェ、ミニクラッシックコンサートなどを行ないました。私が担当した1日目の科学実験講座では、「あなたの遺伝子解析 —酒に強い人?弱い人?」というテーマで、参加高校生のDNAを抽出し、遺伝子増幅法をもちいて、酒の強い・弱いの個人の体質に関連する遺伝子を調べました (実験の風景、写真 1)。2日目のサイエンスカフェでは、女子高校生は行った実験を参加者全員に、面白さをわかりやすく伝えるということを行ないました (発表風景、写真 2)。私の実験講座に参加した高校生からは、「大学の実験室で初めて実験し、初めて、DNAを使いました。電気泳動の機械にDNAを入れるのが、難しかったです (笑)。大学生や理系の先生方の話を聞くことができ、大学への進学、科学の楽しさについて学ぶことが出来ました。本当に貴重な体験をさせていただきました。」との意見をもらいました。私自身も彼女たちが初めて、体験する実験を心から“楽しんで”くれたことを、大変嬉しく感じています。

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写真 2. サイエンスカフェでの高校生の発表風景

ジュニア科学塾では、さまざまなイベントによって科学の興味を高めること、実験やサイエンスカフェ形式の発表を通じて、女子高校生が主体的な取り組みによって科学への理解が深まる経験をしてもらうこと、女性研究者や女性大学院生などの身近なロールモデルとの交流を通して、将来の具体的イメージをもたせるということなどを目指しています。2008年度にも、開催される予定です。神戸大学をはじめ、日本の大学には女性教員はまだまだ少ないのが現状ですが、10年後には、多くの女性大学教員や女性研究者・技術者が誕生し、20年後には彼女たちが日本社会の研究力・技術力を向上させると期待しています。

  1. 関連サイト: 女子高生ジュニア科学塾2007 in 関西 http://scoms.jp/junior2007/
  2. 関連サイト: 女子高生ジュニア科学塾2008 in 関西 http://scoms.jp/junior2008/

Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:17