本ウェブサイトは2012年3月末をもって閉鎖いたしました。このページに掲載している内容は閉鎖時点のものです。[2012年3月]

野球を通して社会貢献?


髙田 義弘

(人間行動専攻 人間行動論講座)

1. 人を育てシステムを変える

アトランタでオリンピックが開催された12年前、私は文部省の在外研究員としてアラバマ州 (アトランタのあるジョージア州の隣) のアメリカスポーツ医学研究所に行く機会を得ました。目的は、日本より試合数が多いのになぜメジャリーグの投手寿命が長いのか? その秘密を探りに、特にどのようにストレングス&コンディショニングトレーニングを行っているのかを実際に見て経験して、そしてそのシステムを日本にも取り入れようとするためでした。その秘密は簡単に言うと1年間を通じて医者、トレーナー、スポーツ科学者が選手をサポートして常に最良のコンディションを持つシステムにありました。選手にはオフシーズンは無いと言うことでした。そのシステムが正しかったことはそのとき実践していたフィリーズのジョン・リーバー (37歳) とタイガースのトッド・ジョーンズ (39歳) が未だに主力として活躍していることからも明らかでしょう。そのシステムを日本に取り入れようとしたところ二人の若者が私の前に現れました。ひとりは徳島大学の大学院生でしたが、そこをやめて私の研究室の研究生となり、その後オリックス・楽天のトレーナーとして現場で活躍してくれました。もうひとりは浪人生の元高校球児で、アメリカのシステムを学び日本に取り入れたいので、ぜひアメリカに留学したい。留学先を紹介してほしいと私の研究室に飛び込んできました。私は熱意に打たれ、アラバマ大学を紹介しました。彼は大学卒業後、日本に戻って楽天・ロッテでトレーナーとして現場で活躍してくれました。ふたりが活躍してくれましたと過去形になったのは、それぞれがこのシステムをプロ野球だけでなく、子供達から高校、大学、社会人にまで広めるために、古田ヤクルト前監督達と一緒に活動したり、自分で活動拠点を持って、選手を受け入れるシステムを作ろうと昨年、今年と彼らが新しいスタートを切ってくれたからです。彼らを通じてこれからの日本球界のストレングス&コンディショニングシステムを変えていきたいと思います。

2. 高校球児、元高校球児、そして高校野球に恩返し

私は元高校球児で現在神戸大学野球部の総監督を務めています。野球部は春秋のシーズン前に合宿を行います。合宿は球場を9日間借り切って、試合を想定した練習を行うシーズンに向けて大変重要な練習です。球場・宿舎をはじめ地元自治体の協力がなければ出来ない練習です。その合宿地香川から高松高校、宮崎から都城泉ヶ丘 (東国原知事の母校) がいずれも21紀枠で甲子園に出場されました。甲子園出場で一番困るのが関西に来てからの練習場所。高校野球連盟から練習場所が割り当てられますが、十分とはいえません。そこで、神戸大学として恩返しするために、海事科学部の野球場で練習をしていただきました。都城泉ヶ丘高校が練習されたときは、その模様がラジオで地元にも中継され神戸大学とのエピソードも紹介されました。

夢・続投! マスターズ甲子園」、長ヶ原准教授の「夢」から始まったこの大会の副実行委員長を務めさせていただいております。私の仕事は、女子アナから法学者、会計士、医師、審判員と私の教え子から同級生、先輩にこの大会にボランティアとして協力していただくことです。皆さんの協力のもと、参加者の元高校球児の皆さんが喜んで頂くことで大会が盛り上がればと思っています。

この二つの活動を通じて、高校球児、元高校球児、そして私を育ててくれた高校野球に恩返し (貢献?) 出来ればと思っています。

3. マスコミの方々にも

同級生から、番組でプロ野球選手の握力を測定したいので握力計貸してくれる。教え子から、先生、番組でバットを使いたいのですが貸していただけますか。ライバルチームだった友人から投手のコンディショニングについてインタビューさせて。教え子を通じて、松坂選手の特集番組に出演していただけますか。アカデミックなことからしょうもないことまでみんな気やすく私に声をかけてくれます。頼られているかと思うと嬉しいです。

これらが神戸大学の教員であると言うことを生かした私、髙田義弘流の社会貢献です。

Updated: 2010/04/09 (Fri) 11:23