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“プロ野球選手”から“おむつ”まで ―スポーツ技術研究からの社会貢献―


前田 正登

(人間行動学科 人間行動論講座 スポーツ科学)

1. プロ野球選手の技術診断

2006年のシーズン、あるプロ野球選手の成績はそれまでの彼の実績からすると極めて不本意なものであったのだろう。その彼が2007年のシーズンに向けて「きっかけをつかみたい」ということで、バットスイングの分析を行うことになった。実際に実験室に来ていただき、約60スイングを様々な条件下で行ってもらい、種々のデータを収録した。そして、バットスイングの力学を背景に収集したデータを分析した結果、来シーズンの成績向上のために彼に2つのことについてアドバイスをした。その内容をここで明らかにすることはできないが、これらのアドバイスについて説明したところ、彼は納得していた様子で、「是非やってみたい」と意欲をみせていた。必ずや2007年のシーズンにこの成果が表れるものと期待している。

2. 分析手法をおむつ開発に応用

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研究の様子

縁あって高齢者向けのおむつに関する研究を、本学生活環境論の井上先生やおむつのメーカーと共同で行うことになった。研究をし始めたころは、テーマからみて私とは全く接点がないものと思い込んでいた。それが、私が普段行っているスポーツ技術研究のための分析方法として用いている手法がおむつ開発にも応用できるかもしれない、となった時点から事態は急展開した。“スポーツ”と“おむつ”。どう考えても結びつかないはずのものが、ある分析方法で繋がったのである。メーカーからはこの春に新商品が発売されるそうで、その新製品の評価にスポーツ技術の分析手法が適用されている。この展開は思ってもみなかったことで喜ばしいことでもあるが、一方で、スポーツ技術研究が社会に様々な形で役立つことがあるかもしれないのに、“関係ない”と思い込み、発達科学の周辺事情に背を向けていた自らの姿勢を反省する次第である。

Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:23