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労働組合での講演活動 「労働ビックバン」をめぐって


岩佐 卓也

(人間環境学科 環境形成論講座 社会政策学)

最近、労働組合から講演や学習会の講師を依頼されることが多くなった。

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講演のチラシ

講演の内容は、「労働ビックバン」に関係するものである。「労働ビックバン」とは、昨年末より経済財政諮問会議などで議論になっている、労働時間規制の緩和、労働者派遣の完全自由化、解雇の金銭解決方式の導入、就業規則の不利益変更の容易化 (それによる成果主義の導入)、団体交渉権の制限等々、つまり労働市場規制ルールの抜本的改変のことであるが、労働者にさらなる困難をもたらしかねないものとして、危機感が強まっている。

朝日新聞が「労働ビックバン」を「財界の逆襲」と報じたが (2006年12月1日)、これは的確なネーミングであろう。つまり、いま起きていることは、「あるべき雇用システム」についての悠長な談義ではなく、戦後労働組合がつくり上げ、維持してきた雇用のルールを粉々にしようという、かなり露骨な攻撃である。しかし他方で、「労働ビックバン」を正当化する議論はそれなりに強力であり、これをどう批判するかという課題も重要である。そうした観点から私の考えるところについて、話をさせていただいている (<http://www.cla.kobe-u.ac.jp/Sojinka/newsletter/0017/staff_02.html> も参照)。

講演活動の中から私が得るものはたいへん多い。私が言いたかったことを突いた鋭いコメントをいただけると非常に励まされるし、その場でうまく答えられなかったことがその後の研究テーマとなることも少なくない。また、「先生」が情報にうといと格好悪いので、新聞記事や各種統計、労働事件の判例などをまめにチェックするようにもなった。

講演は、たしかにすぐに役に立つものではないかもしれないが、少しでも多くの人と一緒に問題を考え、深められるよう、今後も努力してゆきたい。

Updated: 2009/09/17 (Thu) 10:24